矯正治療に使う装置の種類/ワイヤー・マウスピース型矯正装置の違いとアンカースクリュー

矯正治療の装置には、どんな種類があるか知っていますか?

日本橋歯ならび矯正歯科の院長、松浦です。矯正治療を検討し始めると、「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」「アンカースクリュー」など、いろいろな言葉を目にすると思います。どれも矯正治療に関わる言葉ですが、実は役割が異なります。

歯を動かすための装置は、大きく分けて「ワイヤー矯正」と「マウスピース型矯正装置」の2種類です。アンカースクリューは装置そのものではなく、症例によって装置とあわせて使われる補助的な処置です。この記事では、この2つの装置の仕組みと違い、そしてアンカースクリューがどのような場面で使われるのかを整理してお伝えします。

この記事では、次のことをお伝えします。

  • 矯正治療の基本となる2つの装置(ワイヤー矯正・マウスピース型矯正装置)
  • それぞれの仕組みと特徴
  • 2つの装置の比較
  • アンカースクリューとは何か、どんな場面で使われるか
  • 装置・治療で知っておきたいリスク・副作用
  • よくあるご質問(FAQ)
審美歯科

1. 矯正治療の基本は2つの装置

歯を動かすための矯正装置は、大きく分けると次の2種類です。

  • ワイヤー矯正:歯にブラケットという装置を付け、ワイヤーの力で少しずつ歯を動かす方法です。
  • マウスピース型矯正装置:透明なマウスピースを一定期間ごとに交換しながら、少しずつ歯を動かす方法です。

どちらも「歯を動かす」という目的は同じですが、装置の構造や、取り外しの可否、向いている症例などが異なります。どちらが適しているかは、歯並び・かみ合わせの状態によって変わるため、検査のうえでご提案します。

2. ワイヤー矯正の仕組みと特徴

ワイヤー矯正は、歯の一本一本にブラケットという小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して力をかけ、歯を動かしていく方法です。ワイヤーの弾力を利用して持続的に力を加えることで、歯を計画した位置へ少しずつ移動させます。

装置を付ける位置によって、歯の表側に付ける「表側矯正」と、歯の裏側に付ける「裏側矯正(舌側矯正)」に分かれます。裏側矯正については、別の記事で詳しく説明しています。

  • 装置は歯科医師が装着し、患者さん自身で取り外すことはできません。
  • 細かい歯の動きのコントロールがしやすく、幅広い症例に対応できるとされています。
  • 装置が歯に固定されているため、装着時間による計画への影響は少ない方法です。

3. マウスピース型矯正装置の仕組みと特徴

マウスピース型矯正装置は、一人ひとりの歯型に合わせて作られた、透明で薄いマウスピースを使う方法です。段階ごとに少しずつ形の異なるマウスピースを一定期間(1〜2週間程度が目安)ごとに交換しながら、歯を計画した位置へ動かしていきます。

  • 装置は透明で目立ちにくく、食事や歯みがきのときはご自身で取り外せます。
  • 1日のうち決められた時間(一般的には20時間以上とされます)を装着することが、計画どおりに歯を動かすうえで大切です。
  • 装着時間が不足すると、計画どおりに歯が動かないことがあります。
  • 歯並び・かみ合わせの状態によっては、マウスピース型矯正装置での対応が難しく、ワイヤー矯正を組み合わせたり、ワイヤー矯正をご提案したりすることがあります。

4. アンカースクリューについて(装置とあわせて使われる補助的な処置)

矯正治療の説明の中で、「アンカースクリュー」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。アンカースクリューは、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置そのものではなく、症例によって、これらの装置による歯の移動を助けるために追加で行う補助的な処置です。

歯を動かす力は、動かしたい歯だけでなく、支えとなる周囲の歯にも伝わります。そのため症例によっては、支えにしたい歯まで一緒に動いてしまい、狙いどおりに歯を動かしにくいことがあります。アンカースクリューは、あご の骨に小さなチタン製のネジを一時的に埋め込み、これを動かない支点(アンカー)として利用することで、動かしたい歯だけを効率よく、狙った方向に動かしやすくする目的で使われます。

  • アンカースクリューは、必要と判断された症例で、ワイヤー矯正またはマウスピース型矯正装置とあわせて使用します。単独で使う装置ではありません。
  • 使用するかどうか、どの位置に埋め込むかは、検査・診断のうえで判断します。すべての方に使用するものではありません。
  • 局所麻酔をしたうえで歯ぐき・あごの骨に埋め込み、治療の進み具合に応じて必要な期間使用した後、取り外します。

アンカースクリューを使うかどうかは治療計画の一部としてご説明しますので、気になる場合は診察の際にご質問ください。

5. ワイヤー矯正・マウスピース型矯正装置の比較

2つの装置の特徴を整理すると、次のようになります。

ワイヤー矯正マウスピース型矯正装置
見た目表側は目立ちやすい/裏側は目立ちにくい透明で目立ちにくい
取り外しできない(歯科医師が装着)できる(ご自身で着脱)
装着時間の管理常時装着のため自己管理の影響は少ない1日の装着時間の自己管理が必要
対応できる症例の幅幅広い症例に対応できるとされる症例によっては対応が難しいことがある
食事・歯みがき装置周りの清掃に注意が必要外して食事・歯みがきができる
通院頻度の目安1か月に1回程度1〜3か月に1回程度

※上記は一般的な傾向であり、実際の適応・見た目・通院頻度には個人差があります。どちらの装置が向いているかは、歯並び・かみ合わせの状態によって異なるため、検査のうえでご説明します。

6. 装置・治療で知っておきたいリスク・副作用

矯正治療には、使用する装置にかかわらず、次のようなリスク・副作用が知られています。

  • 装置を付けた後や調整後の数日間、歯の痛みや違和感が出ることがあります。
  • ワイヤー矯正では、装置が唇や頬の内側に当たり、口内炎ができることがあります。
  • マウスピース型矯正装置は、決められた時間装着しないと、計画どおりに歯が動かないことがあります。
  • 歯みがきがしにくくなり、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなることがあります。
  • 治療の経過で、歯の根が短くなる(歯根吸収)ことがあります。
  • 装置を外した後、歯が元の位置に戻ろうとする(後戻り)ことがあります。保定装置(リテーナー)による保定が必要です。
  • 当初の計画どおりに歯が動かず、治療期間の延長や治療計画の見直しが必要になることがあります。
  • ワイヤー矯正では金属を使用するため、金属アレルギーの反応が出ることがあります。
  • アンカースクリューを使用する場合、埋め込み部分の一時的な痛みや、歯ぐきの炎症が起こることがあります。まれに、スクリューが緩んだり外れたりすることや、歯・歯根に接触することがあります。

これらの多くは、定期的な通院とセルフケアで軽減や早期対応が可能です。気になる症状が出たときは、我慢せずにご相談ください。

7. よくあるご質問(FAQ)

Q. ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらが自分に向いているか分かりません。

A. どちらが向いているかは、歯並び・かみ合わせの状態やご希望によって異なります。当院では検査結果をもとに、それぞれの特徴とあわせてご提案しますので、迷う場合は遠慮なくご相談ください。

Q. アンカースクリューは必ず使うものですか?

A. いいえ。アンカースクリューは、支えとなる歯を動かさずに、動かしたい歯を効率よく動かす必要があると判断された場合に、装置とあわせて使う補助的な処置です。すべての方に使用するものではなく、検査・診断のうえで必要かどうかを判断します。

Q. アンカースクリューを埋め込むのは痛いですか?

A. 局所麻酔をしたうえで行うため、処置中の痛みは抑えられます。麻酔が切れた後に、一時的な痛みや違和感が出ることがあります。

Q. マウスピース型矯正装置は、装着時間を守れなくても大丈夫ですか?

A. マウスピース型矯正装置は、決められた時間装着することを前提に治療計画を立てています。装着時間が不足すると、計画どおりに歯が動かず、治療期間が延びることがあります。装着時間の確保が難しい場合は、事前にご相談ください。

Q. 治療の途中で装置を変更することはできますか?

A. 歯並び・かみ合わせの状態や治療の経過によっては、装置を組み合わせたり、変更したりすることがあります。変更が可能かどうかは状態によって異なるため、診察のうえでご説明します。

Q. 装置によって費用は変わりますか?

A. 装置の種類や症例によって費用は異なります。当院の料金は料金ページをご確認いただくか、カウンセリングでお尋ねください。初診カウンセリングで費用の見込みをご説明し、精密検査後の診断で正式な金額をご案内します。

8. まとめ

  1. 歯を動かす矯正装置は、大きく分けて「ワイヤー矯正」と「マウスピース型矯正装置」の2種類です。
  2. ワイヤー矯正は歯科医師が装着・調整する方法で、幅広い症例に対応できるとされます。表側・裏側の2つの付け方があります。
  3. マウスピース型矯正装置は透明で目立ちにくく、ご自身で着脱できますが、1日の装着時間の自己管理が必要です。
  4. アンカースクリューは装置そのものではなく、必要な症例で装置とあわせて使う補助的な処置です。すべての方に使用するものではありません。
  5. どちらの装置が向いているか、アンカースクリューが必要かどうかは、検査・診断のうえで判断します。
  6. 矯正治療には、痛みや違和感、むし歯リスクの上昇、歯根吸収、後戻りなどのリスク・副作用があります。装置ごとの注意点もあわせて理解しておくことが大切です。

この記事を書いた人

院長 松浦 彰子(まつうら あやこ)

松浦 彰子(まつうら あやこ)/日本橋歯ならび矯正歯科 院長

  • 日本矯正歯科学会 認定医(2014年取得)
  • 2008年 日本歯科大学 卒業
  • 2009年 東京歯科大学矯正歯科 入局
  • 2016年 都内近県の複数の矯正専門クリニックにて、舌側矯正・マウスピース矯正の診療に従事
  • 2026年2月 日本橋歯ならび矯正歯科 開院

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